旅の思い出 終編

また、しばらく更新ができてませんでした。

ちょっと忘れつつある旅のまとめ後編を。

 

2月14日(土曜日)

昼に起きて宿さんと近所の家庭的な中華料理屋に。日本語の上手な中国系のお母さんと厨房を仕切るお父さん二人でやってるお店。オシム監督が順天堂大学病院(?)に通院してる頃によく来ていたという話も。料理はどれも手頃なお値段ながら結構本格的なお味。まず、餃子、水餃子、雲白肉なんかをいただき、大皿で来るニラレバ、えびマヨなんかもすごくおいしいのに一皿千円もしない。〆にチャーハンまで頼んじゃったけどかなり苦しい量。この日のお昼は飲まないことにしてたけど、ビール飲んでたら食べきれなかったな。宿さんは〆に海鮮おこげまで頼んで、店のお母さんに「そんなに食べるのに細いわね~」と驚かれる。俺はともかく宿さんはたしかに細い。空手やってたし代謝がいいのかな。羨ましい。

 

3時頃までシャワーを浴びなおしてメールやスカイプに返信。静岡のサスケさんが明日代官山にJ Dillaのフィギュア買いに行くんで、その後渋谷でレコード掘らないかというお誘い。日曜の夜は飲み会なので、お昼はサスケさんと渋谷ウロウロして暇を潰すことに決めた。帰る前にCD見て、ジャズ喫茶も寄っておきたいなと思い、ふらっと電車に乗って御茶ノ水に向かう。

 

御茶ノ水ジャズトーキョー。東京でCDを見る時いつも寄るのは、御茶ノ水のここか、新宿のユニオン。今年はピアノより管を聴きたいなーという気分だったので、いろいろと見て回る。新譜も旧譜もやはり人気なのはピアノ・トリオかな。量的には。

結局買ったのは、Alan Hampton「Origami for the Fire」(新譜)、Avishai Cohen Trio「From Darkness」(新譜)、Ambrose Akinmusire「When The Heart Emerges Glistening」(中古。しかしプロモ盤未開封だった。)、Marcus Strickland「At Last」(中古。ピアノがグラスパー。他のメンツもいい。)、Jonas Kullhammar Quartet「Låt Det Vara」(中古。ビートルズ「Let It Be」のパロディ・ジャケ。タイトルもスウェーデンの言葉で Let It Be の意。)、Milt Jackson Quartet「Milt Jackson Quartet」(中古。前々から欲しかった盤が安かったので。MJQのピアノをジョン・ルイスに代えてホレス・シルヴァーというメンツ。)、Ike Quebec「Bossa Nova Soul Samba」(中古。これも以前から好きだったけど持っていなかったもの。先日話した会計士さんも好きだと言っていたのでそれならと購入。)御茶ノ水で買ったCDは以上で1万円程。こういう店に来ると先に予算を決めておかないと無限地獄に陥るのでこの辺で切り上げておくw

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 (友人曰く、わりとよく売ってるらしい宣材盤)

 

東京でジャズのCDを買うとジャズ喫茶で早速かけてもらいたくなる。いつもなら御茶ノ水に寄ると、少し歩いて神保町のビッグボーイというお店に寄るんだけど、このへんのお店は土日閉まっていた記憶。(そうだ、後で寄ろうと思ってたペルソナってカレー屋さんもたぶん閉まってる)どうしようかと思案して、最近柳楽光隆さんなんかが口にするいーぐるというお店に行ってみようと思いつく。御茶ノ水からまたメトロに乗って四谷に。四谷の駅に初めて降り立ったけど、なんだか普通に都会だな。iPhoneのグーグル・マップのアナウンスに従ってお店を目指す。このiPhone握りしめてる感じが実に田舎者丸出しだけど、東京なんてだいたい田舎者がいるところだろという開き直りは既に板についている。しかし、iPhoneができて本当によかった。乗換案内アプリとグーグル・マップがあればだいたいの街は歩けてしまうのだから。3、4分程でお店にたどり着く。地下へと続く細い階段を降り、扉を開けて目の前の光景に驚く。えっ、目の前のこの方は大谷能生さん? ああ、そういえば事前にえふさんに話してたけど、大谷さんがいーぐるでイベントやるのって今日だったのか・・・。講演は既に佳境で、完全に水を差す感じになってしまい、席もいっぱいなので、大谷さんの真後ろのカウンター席に座る。内容はというと、これも奇遇なことに「MJQジョン・ルイスってアレな人」という特集。音楽的にも実にstrangeなことをやっていて、この年代にこんな音楽をやっていたのかと驚いたり、完全な奇人っぷりを発揮していたり、いい湯加減で奥さんとバッハを弾いていたりする音源など。音がかかるだけで笑いが起こるあたり、諸先輩方心得ているというか、ああ、これが東京だなという気持ちになり嬉しくなった。3時間半の講演の最後の1時間にしか立ち会えなかったけど、とてもおもしろかったし満足できた。いい内容だったし、MJQの音源が欲しくなった。

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 (大谷さんの背中。左はいーぐる店主後藤さん。)

 

講演が終わり、皆だんだん席をたって会計を済ませる頃、大谷さんと少しだけ話すことができた。 俺「水曜ウォンテッドの録音全部持ってます!」 大谷「あはは。懐かしいなぁ。ありがとうございます」 俺「愛媛の田舎からでんぱ組を見に来てて、帰り際にふらっと寄ったんですよ」 大谷「えっ でんぱ組ってなんですか?」俺「アイドルですw」 大谷「?? ああ、ああ、そういうことか」

本当は菊池さん大谷さんのラジオでジャズを本格的に聴き始めたこととか、お二人の著作もほとんど読んでいて、特に大谷さんの書いてるものが好きであることとか、大谷さんが書いていた演劇評で興味を持った「再生」という舞台を今度元BiSの子がやるとかいう話を語りたかったけど、なんだか照れもあってアガってしまったのと、他のお客さんも次々話しかけていたのでこれぐらいの短い言葉しか交わせなかった。店を出て駅に向かいながら、あんまり歳も変わらないけど、遥か雲の上の人と思っていた大谷さんとばったり会えて、20台中盤の俺が夢中になって何度も聴いていたラジオとまるで変わらない話しぶりを生で聴けた感動が静かに沸き起こっていた。

 

大谷さんと会えた感動をツイートしたりしつつ電車でホテルに戻る。宿さんと明日のお昼に飲もうと言っていたワインを今夜のうちに開けることに。宿さんのお仕事がだいたい片付く深夜まで待ってロビーでワインを開栓する。1本1万円もするイタリアワイン。ワインは好きだけど、まったく詳しくなくて、俺は聴いたことのない銘だった。昨日デパ地下で買ったチーズやサーモンなんかをつまみながら頂く。ほんとに飲んだことないレベルでおいしかったな。飲んでる時にえふさんが「代々木のスカパーの中継が某所にあがってましたよ」とDMをくれたのは覚えてる。タブレットじゃまともに視聴できないから帰ってから見ることにしたんだっけな。この日も2時くらいまで飲んで自室に戻り、明け方就寝する。

 

2月15日(日曜日)

10時ぐらいに起きると早速サスケさんからスカチャが来てる。もう少ししたら出発して、1時に代官山でフィギュア買うんで、2時に渋谷で、と。じゃあ、昼過ぎに渋谷に着いてご飯でも食べて待っとくことにするか。ということでシャワーを浴びて着替えてメール等諸々済ませて出かける。東西線から九段下で乗り換えて半蔵門線。40分程で渋谷に着くとちょうど一時くらい。食べたいものがまったく思いつかないまま道玄坂の方ウロウロして何軒か知ってるお店を見つけるもなんだか気が乗らず、そういや東京に来る前にけけさんとタイ料理屋行く約束してたなと思いだし、けけさんとは都合がつかなくなった(後で聞いたら50連勤だったらしい。ご苦労様だな・・・。)から一人で食おうと思ってセンター街のタイガーデンというお店に。完全にタイ人の店員に案内されて、ギャルの成れの果てのようなお姉さんと、女子大生っぽい子二人組の間の席に通される。ベタにカオマンガイのランチセットを。

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(渋谷タイガーデン「タイ風チキンライス」)

 

カオマンガイはうまいっちゃうまいけど、飛び抜けたものはなく、味も日本人に合わせてるんだろうか普通に食べやすい味(スイートチリソースはわりと辛い)。トムヤムクンは辛い。ヤム・ウンセン?春雨のサラダも全然普通。タピオカとココナツミルクは半分残した。思ってたほどのエスニック感はなかったかなー。これ1200円はちょっと高いよ。900円にしろ。

 

食べ終わるともう2時を過ぎていた。サスケさんにスカチャしてもメールしても返事ないので電話かけると、ちっちゃい声で「今渋谷のユニオンにいる」とぶつぶつ言うので向かう。ユニオンの地下のフロアに降りてくと、真剣に和物を掘ってるサスケのおっさんが。なんかタイトなレザーのジャケットにブーツで無駄にお洒落だ。「あ、悪い悪い。レコードに夢中でメールとか全然気付かなかったわ。それよりこの猪俣猛のドラムのこれ見てくれよ。こんなのそもそも売ってないし、こんな安い値段もありえねえよ。」と、9月ぶりに会ったけど、まったくいつものサスケさんで安心する。「まあ、しかし掘り出し物はこれくらいだな。うーさん俺腹減ったわ。え?もう食ったの?まあ、とりあえず外出ようか」ということでサイゼリヤに。芋の子を洗うように混んでる日曜日のサイゼリヤで少々待たされて席に案内される。「絶対こんなとこで働きたくないわ」とか言いながら。おっさんは野菜ソースのハンバーグとライスとドリンクバー。俺はワインでも飲めばと薦められたけど、普通にドリンクバーだけ単品で。昨日ユニオンで買ったCDを並べて語ったり、さっきおっさんが掘ってきたレコードを並べて語ったり。傍から見ているとうんざりするような音楽オタクぶりだ。だらだらと喋って俺がトイレに行って帰ってくると、サスケさんが隣の席の若い子連れのお父さんと話し込んでいる。「あれ、どうしたの」「いや、なんかこの人ユニオンで10年働いてたんだって。なんかすげー音楽詳しいの」 どうも、横にいたお父さん現代音楽やってたギタリストでCDまで出していて、ユニオンのクラシック館に長く勤めていたらしい。俺たちと同い年くらいに見えるけど、ひと回り上の46歳。いやーコンロン・ナンカロウがやばくてねーなんて話や、ユニオンの査定の裏話、大物コレクターが亡くなった時の買い取りの話、クラシック館には音大の女の子がバイトにくるけど、だいたい皆クラシックが嫌いだという話なんかを聴く。このお父さんもユニオンの9歳下のバイトを嫁にしてしまったようだ。もう音楽の仕事はしていなくて家業の魚屋を継いで奥さんとやっているらしいが、新年会をスタジオなんかでやると新しいバンドが毎年4つくらいできちゃって遊んでしまう、と。なんだか音楽ファンの理想型というか、成れの果てというか。1時間半ぐらい喋っちゃったかな。帰り際に、「いやーお子さんまだ小さいですね。かわいいなー。」と言うと、「レコード聴いてたら結婚が遅れちゃったんだよ。君らも気をつけてね」と言われる。サスケさんにそのことを言うと「もう手遅れだわ」と。まだまだ時間あるからレコファンも見てこうぜと、まったく懲りずにまたレコードを見に行く。4時から5時半くらいまでいたかなー。レコファンは意外と高い。いいものになるとそれなりの値段がついてるし、どうでもいい盤はずっと前からここにあって動いてないという話だった。それでもサスケさんはまた5、6枚レコードを買っていた。俺はBob Berg, Dennis Chambers, Joey DeFrancesco & Randy BreckerというメンツのCDを1枚だけ。ボブ・バーグが欲しかったんだけど、目ぼしいのはこれくらいで、しかも帰ってAmazon見たらそっちの方が安かったというどうしようもない感じ。まあ、内容は結構よかったのでいいや。俺の7時の神楽坂の飲み会の時間までもう少しだけ時間があるのでドトールに寄って少しだけ話す。結局この日のお茶代は全部サスケさんが出してくれた。ありがと。

 

渋谷から神楽坂へは半蔵門線で帰ってまた東西線。神楽坂に向かっていると宿さんとどかんから少し遅れそうだと連絡が。しかし、神楽坂の駅に降りると後ろから肩を叩かれて、振り向くと宿さん。同じ電車だった。そのまま神楽坂のお店に。程なくティティさんといういつも俺たちなんかと飲んでくれる稀有な美人さんから先に着いたと連絡がくる。ちょっとわかりにくいお店で、ティティさんに電話かけて出て来てもらって席につく。「白金 酉玉 神楽坂店」という焼き鳥のお店。自分で選んどいてなんだがシャレオツだわ。どかんはいつものことながら遅刻なので、3人でとりあえず生。お通しの野菜スティックをかじりつつ、まずは刺し身でも。しかし7時に来たのにもう白レバーは売り切れで刺しも焼きもない。ささみの酒盗和えと鶏生ハム、串は血肝を頼んでおく。この御店の焼き鳥は内蔵だけでも10種類は超えてたかな。30分程でどかんが着いたので、俺が外まで迎えに行ってやって4人揃って乾杯。串を7、8本程頼む。ソリレース、アキレス、つくね、銀杏・・・えんがわは頼んだっけな?聴いたこともない珍しい部位ばかりで選ぶのに迷う。他はもう覚えてないw けれど、どの串もおいしかったし、揃えてある日本酒もこれまたおいしい。ちょっとだけ高いけどね。久しぶりに会ったティティさんは上機嫌で、いつもながらお酒強いなと思いつつも、今日のピッチは速すぎだろと驚く。「うーちゃんお肉おいしいから焼きたてで食べてね」って、串を食べるのも速いw この店で飲んだ酒屋の女房の盗み酒というのがおいしくて、調べたらこれ愛媛の梅錦の酒で地元も地元。しかし、この辺の大きな酒屋でも見たことがない。うまいものは全部東京に行っちゃうんだよとフォロワーさんが言ってたけど、「まさに」という感じ。

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(夢中で飲み食いしちゃって写真撮れてない)

 

2時間までということで9時に外に出る。おいしかった。女の子とならまた来たい。男だけだとちょっともったいない店だw いい具合になってるけど、ティティさんが「二軒目行こう!」というので駅までに見つけたお店に入るかと歩いてく。この日は風が強くて皆で寒い寒い言いながら歩いてく。日本酒の店とピッツェリアがあった。二軒目はワインにするかとピッツェリアに。店入って俺トイレ行ったんだっけな?席につくともうオーダーは終わってた。(若干記憶曖昧)マルゲリータとシーフードのマリネ。最初ビールだったっけ。あれ、1本目の赤は俺が選んで軽くていまいちだったな。まあ、俺がそんなんだから皆も結構酔っちゃってる。2本目の赤を宿さんが選んでもうデザートなんかも食べちゃって。

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(金も持ってないのに二次会までついてくる奴~)

 

最後のワインは若干飲み残してそろそろ終電。ティティさん完全に千鳥足なんだけどもw で、駅に着いたもののティティさん横浜まで帰れそうにないから宿さんとこのホテルに泊めることに。ここ5年くらいだいたい半年ごとに飲んでるけど、ここまで酔ってるのは初めて見てちょっと心配になった。もちろん何もやましいことはせずに皆寝る。

 

2月16日(月曜日)

朝起きてティティさんを見送った後、宿さんと東京で最後のご飯は近所のインドカレー屋さん。ここも何度か寄ってるな。この一週間飲みまくった体にインドカレーターメリックが効いた気がした。部屋に戻って荷物をまとめて駅に。宿さんが駅まで送ってくれる。ほんとに恐縮だ。ゆっくりと成田まで行く間いろんな音楽を聴いて感慨にふける。この帰りの時間がいつもしんみりとするんだよなー。誰だってそうだろうけど。

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(成田空港ではいつもここのカフェのアイスティー一択)

 

5時前に離陸して7時前に松山に着く。濃すぎる一週間だった。そして飲み過ぎ食い過ぎの一週間だった。東京でお会いした皆様本当にありがとうございました。これに懲りなければまた遊んでください。

 

ではでは、長くかかった旅行記もこれでおしまいです。